「ホームページは、できるだけ安く作れた方がいい」
そう考えるのはごく自然なことだと思います。
私自身、安く作るという選択肢そのものを否定しているわけではありません。
ただ、Web制作者として格安で作られたホームページを引き継ぐ中で、ある共通点が見えてきました。
それは、作った直後は問題がなくても、運用を始めてから必ずどこかで困るケースが多いということです。
これは、単純に「安いから良くない」ということではなく、構造上の問題なのです。
この記事では、実際に私が引き継いだ格安ホームページの事例をもとに、なぜトラブルが起きやすいのかを「価格」ではなく「構造」の視点から解説します。
1. 格安ホームページで実際に多かったトラブル事例
【事例1】公開後に発覚。SEOの土台となる構造化データ・タグが未設定だった

引き継いだ案件で特に多かったのが、SEOを考慮した初期設計がほぼされていないケースです。
具体的には、
• 構造化データが設定されていない
• ページのスラッグが適切に設定されていない
• canonicalタグが未設定
• 画像にalt属性が入っていない
・メタディスクリプションの未設定
・Googleサーチコンソールでのインデックス未登録
など…といった状態でした。
そのため、SEOの改善以前に、土台から作り直す必要がある状況になっていました。
これらの技術的設定がないと、検索エンジンにWebサイトの情報が正しく伝わらず、結果的に「検索順位が上がらない」「集客につながらない」という致命的な結果を招きます。
【事例2】拡張性・柔軟性ゼロ。長期運用に向かないWordPressテーマが使われていた

別の案件では、一見するとデザインはとてもきれいなWordPressテーマが使われていました。
ただし、
• 内部構造が複雑でカスタマイズしづらい
• SEO対応を後から行うのが難しい
• 機能追加や拡張を想定していない
・プラグインが多すぎてサイトが重たい
といった問題があり、
「育てていく前提」で作られていないテーマでした。
見た目は整っていても、長期運用を考えると、結果的に修正コストが大きくなってしまいます。
運用途中で「新しい機能を追加したい」「デザインを少し変えたい」となった際に、全て作り直しに等しい費用が発生し、ビジネスのスピードを停滞させてしまいます。
【事例3】「作って終わり」の構造。運用・セキュリティ視点が弱かった制作者

引き継いだホームページの制作業者(法人・個人)の中には、もともとグラフィックデザイン出身でWeb業界に入った方もいました。
デザインの完成度は高く、見た目としては申し分ない一方で、「SEO」や「セキュリティ」「長期的な運用設計」といった視点が弱く、「作って終わり」の構造になっていた印象です。
デザインが悪いわけではありません。
ただ、設計思想が異なっていたということです。
セキュリティ対策が手薄な場合、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まります。
また、集客設計がないため、見た目が良くても売上に貢献しない「ただの名刺代わり」のサイトになってしまいます。
【事例4】戦略が皆無。ただ写真と文字を当て込んだだけの「集客に使えない」サイト

また別の格安案件では、
• 写真と文字を当て込んだだけ
• レイアウトも素人感が残る
• 戦略や設計、マーケティング要素がほぼない
・文章も作り込まれていない
というケースもありました。
「とにかく安く作る」ことを優先した結果、集客や運用に使えないホームページになってしまっていました。
費用をかけても、そのホームページが「営業ツール」として全く機能しないということは、投資が無駄になります。
集客効果が見込めず、結局すぐに作り直す二重投資に繋がります。
2. なぜ格安ホームページではトラブルが起きやすいのか

ここまでの事例から分かるのは、問題の本質は価格そのものではないということです。
格安になる背景には、こうした構造があります。
→ 作業時間をかけられない
→ ヒアリングが浅くなる
→ 将来の運用を想定しない設計になる
→ デザイン or コーディングのみ
→ SEOやセキュリティまで手が回らない
つまり、トラブルの原因は「安さ」ではなく、制作工程と設計思想が見えないことです。
3. 格安ホームページを選ぶなら、最低限ここは確認してほしい

すべての人が高額な制作費をかける必要はありません。
ただ、格安で依頼する場合は、次の点だけは確認しておくことをおすすめします。
・SEOを前提に設計されているか
・長期運用に向いたWordPressテーマか
・修正・拡張が前提になっているか
・セキュリティについて説明があるか
「なぜこの価格なのか」を説明できる制作会社であれば、格安でも大きなトラブルは避けられる可能性が高いです。
一歩踏み込んだ!失敗しないための具体的な質問例

制作会社が「すべてやります」と答えても、その内容が曖昧では意味がありません。
彼らの専門性と設計思想を見抜くために、具体的な技術名を使って質問してみましょう。
✅ SEO設計・構造化についての質問
| 曖昧な質問(NG) | 確認すべき具体的な質問(OK) | これで分かること |
| 「SEO対策は万全ですか?」 | 「構造化データはどのページに、どのような種類で設定しますか?」 | 検索エンジンへの情報伝達の正確性。 |
| 「重複コンテンツ対策はしますか?」 | 「既存コンテンツとの重複を防ぐためのcanonicalタグはどのように扱いますか?」 | SEO評価分散防止への意識。 |
| 「キーワードは選定してくれますか?」 | 「各ページのタイトルとディスクリプションは、どのような戦略で作成しますか?」 | 表面的なキーワード選定に留まらないか。 |
✅ 長期運用・セキュリティについての質問
| 曖昧な質問(NG) | 確認すべき具体的な質問(OK) | これで分かること |
| 「何かあったら対応してくれますか?」 | 「機能追加や大規模改修を見越した、カスタムフィールド等の設計はありますか?」 | 拡張性のある構造になっているか。 |
| 「セキュリティは大丈夫ですか?」 | 「ログインURLの変更や二段階認証、WAFなど、具体的なセキュリティ対策はどこまで含みますか?」 | 抽象的な説明でなく、具体的な実務レベル。 |
まとめ:後悔しないために知っておいてほしいこと

私の経験上、格安ホームページでトラブルになるケースの多くは、「作った直後」ではなく、運用を始めてから問題が表面化します。
価格だけで判断するのではなく、どこにコストが使われているのかを見ること。
それが、結果的に時間もお金も無駄にしない一番の近道だと感じています。

